性病は、治療せずに放置すると、別の臓器や妊娠に影響する場合があります。ただし、感染した人全員が重症になるわけではありません。症状が軽くても、診断された感染は医療機関で治療を相談してください。
重症化に関係する治療・妊娠・免疫の状態
- 重症化の可能性は、治療の有無、妊娠、免疫の状態などによって変わります。
- 症状が軽いことと、合併症が起きないことは別です。一方、感染した人全員が重症になるわけでもありません。
- 検査・治療・予防によって減らせるリスクがあります。症状や検査結果に応じた対応は医療機関に相談してください。
急な体調悪化、長期間の感染による合併症、胎児・新生児への影響では、必要な診療が異なります。
感染症ごとの合併症と妊娠への影響
| 条件・感染症 | 注意する影響 | 受診・予防で確認すること |
|---|---|---|
| 未治療の梅毒 | 長期間放置すると心臓・血管・脳などに病変が生じることがある | 症状が消えても治療不要とは判断しない [1] |
| 妊娠中の梅毒 | 胎児への感染、死産・早産、先天梅毒 | 早い時期の診断・治療と妊婦健診。パートナーも相談 [1] |
| クラミジア・淋菌に関連する骨盤内炎症性疾患 | 卵管などの炎症、不妊や異所性妊娠につながる場合 | 症状の有無だけで判断せず、診断された感染や腹痛を放置しない [2][3] |
| 未治療のHIV | 免疫機能の低下に伴う重い感染症や一部のがん | 診断後の早期受診と継続治療。適切な治療で長く健康に生活できる [4] |
| 慢性B型肝炎 | 肝硬変・肝がんなど | 検査、肝臓の評価、適応に応じた治療・経過観察。ワクチンも予防手段 [5] |
| 高リスク型HPVの持続感染 | 子宮頸部の前がん病変やがん | HPV陽性を「がん」と同一視しない。ワクチンと適切な検診・精密検査 [6] |
| 妊娠・出産時の性器ヘルペス | 新生児への感染が問題になる場合 | 新しい症状や過去にかかった病気を産科へ伝え、個別の管理につなげる [7] |
表は主な合併症の例です。合併症とは、感染に伴って別の臓器などにも問題が起こることです。全員に起こるわけではなく、治療や妊娠の有無などで危険性は変わります。
妊娠中の梅毒と性器ヘルペス
梅毒では胎盤を介して感染が起こり、生まれたときには症状がなくても後から現れることがあります。妊娠中の早期治療は胎児への感染リスクを下げるために重要です。妊婦健診を受けていても、新たな感染機会やパートナーの診断があれば、その情報を産科に伝えてください。[1]
性器ヘルペスも、初めて感染した時期や出産時の状態などを踏まえた管理が必要です。過去にかかったことがあるだけで必ず赤ちゃんに感染するわけではありません。インターネットの一般論で出産方法や薬を決めず、産科と相談しましょう。[7]
無症状でも起こる合併症
クラミジアや淋菌は、自覚しにくいまま感染していることがあります。クラミジアでは子宮や卵管などの炎症が気付かれないこともあり、淋菌でも合併症が起きてから気付く場合があります。[2][3] 骨盤内炎症性疾患は複数の原因で起こり得るため、腹痛だけで性感染症と断定することもできません。
医療機関で原因を評価し、必要な治療を早く始めることが大切です。[8]
HIV・HPV・B型肝炎の長期的な影響
HIV陽性とエイズは同義ではありません。HIVは免疫に影響するウイルスで、エイズは進行した段階の状態です。現在は有効な治療によって管理できる慢性疾患として捉えられています。過去の死亡例だけで現在の治療後の経過を決め付けないでください。[4]
HPVはよくみられる感染で、多くは自然に排除されます。一部の発がん性のある型が持続感染すると、前がん病変からがんに進むことがあります。したがって「陽性=がん」「陰性なら今後も検診不要」という読み方はいずれも適切ではありません。[6] B型肝炎も急性と慢性を分け、治療の必要性や経過を医師が評価します。[5]
早急な受診が必要な症状
強い下腹部痛に発熱・嘔吐がある、妊娠中に腹痛や感染を疑う症状がある場合は、早めの診察が必要です。[8] 梅毒が疑われる、または診断されていて、視力・聴力の変化や神経症状がある場合も速やかに医療機関へ相談してください。[9] これらは性感染症だけの症状ではなく、別の病気を見逃さないための受診でもあります。
症状がある、検査が陽性、妊娠中に感染が気になる場合は、クリニック・病院へ相談してください。症状がなくても、必要な検査は接触の時期や部位で異なります。HIV検査には保健所などの無料・匿名検査もあります。 [10]
出典
一般向けの解説記事です。個別の診断・治療方針を示すものではありません。海外指針の適用条件と国内での診療は区別してください。
